時代小説・歴史小説

篠綾子

江戸時代のパティシエを目指す娘の奮闘物語はいかが ー 篠綾子「望月のうさぎ 江戸菓子舗照月堂1」

女性が主人公で食べ物がテーマの時代小説となると、たいていは居酒屋、料理屋、一膳飯屋というところが多くて、職人の世界、しかも「和菓子」の世界というのはそうそうはお目にかかれない。 現代では女性の菓子職人やパティシエというのは珍しくなくなってい...
篠綾子

「和歌」がアイテムの変わり種時代小説はいかが ー 篠綾子「代筆屋おいち」シリーズ

その時代小説の世界に浸れるかどうかは、その舞台設定はなじみのものであるか、あるいは自分の経験の範囲外にある目新しいものであるか、といったところが肝になることが多いのだが、このシリーズの主人公は、田舎から家出してきた娘が「代筆屋」を始める、と...
今村翔吾

忌まわしい火付け犯復活?明和の大火の再来か・・・ ー 今村翔吾「狐花火 羽州ぼろ鳶組7」

江戸の火消の代表格となった「新庄藩大名火消し」の活躍を描く「羽州ぼろ鳶組」の活躍を描くシリーズの第七弾が「狐花火」(祥伝社文庫)。 度重なる火事で犠牲者も出ているが、「ぼろ鳶組」があちこちの火事に出張って「見舞火消」を続けるうちに、江戸の火...
上田秀人

裏切り者をおびきだせ。獅子身中の虫の狙いは何? ー 上田秀人「金の記憶 日雇い浪人生活録7」(時代小説文庫)

前巻で表舞台に登場した「分銅屋」であったが、己と田沼意次との関係を外へ漏らしている「内通者」探しとその黒幕の意図を探るのが本巻の主なところ。 もう一つは、分銅屋を狙った盗賊たちと対決する村越伊勢こと売れっ子芸者の加壽美の勇姿で、なんとも美し...
上田秀人

元同心と目付けは密かに罠をはる一方で、分銅屋は表舞台に登場 ー 上田秀人「金の裏表 日雇い浪人生活録6」(時代小説文庫)

今までは田沼意次との関係を秘密にしていた、分銅屋がとうとう表に出始めるのが本巻。そのせいか、分銅屋の前に現れてきそうな敵の姿も札差だけでなく、権威と結びついていそうな商人や、いきずりの盗賊やら、いろんなのを引き寄せるようになってくる。 おそ...
上田秀人

札差・加賀屋の猛攻が分銅屋を襲う。左馬之助はどうしのぐ? ー 上田秀人「金の邀撃 日雇い浪人生活録5」(時代小説文庫)

今まで分銅屋にちょっかいを出しても全て失敗してきた加賀屋が、目付けの後ろ盾を得て、本格的に「分銅屋潰し」を行った顛末が描かれるのが本巻。 目付けの牽制で、町奉行所は加賀屋の動きを「見てみぬふり」を決め込む環境のもとで万全の体制で仕掛けを始め...
上田秀人

目付けの狙いは分銅屋。左馬之助には仕官の罠が・・ ー 上田秀人「金の権能 日雇い浪人生活録4」(時代小説文庫)

田沼意次とともに「米から金」の世界をつくろうとする分銅屋とその用心棒・諫山左馬之助が、反対勢力の札差や目付けたちとがっぷり四つで対決する時代物「日雇い浪人生活録」の第4弾。 度重なる攻撃や買収工作を防いでいる左馬之助ではあるのだが、戦線は拡...
上田秀人

札差の刺客の剣を、左馬之助、鉄扇で防げ ー 上田秀人「金の策謀 日雇い浪人生活録3」(時代小説文庫)

「米から金へ」という大政策がどうなるかもあるのだが、江戸の有力者である「札差」と武士が恐れる「目付け」を敵方に回してしまった両替商・分銅屋と、その用心棒・諫山左馬之助が、彼らの攻撃をどう防戦するか、がひとまず主流となっている「日雇い浪人生活...
上田秀人

札差と目付けの攻撃が左馬之助たちに忍び寄る ー 上田秀人「金の諍い 日雇い浪人生活録2」(時代小説文庫)

徳川吉宗から徳川家重へ時代が移行する時代、吉宗から「幕政を米から金に変えよ」という遺命を受けた田沼意次を軸にした「金」主導派と「米」主導派の対決を底流に、田沼の町方の主戦力として働く両替商・分銅屋仁左衛門の用心棒として雇われた二代続いての浪...
今村翔吾

ナンバーワン花魁の熱い期待に、彦弥はどう応える? ー 今村翔吾「夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組6」(祥伝社文庫)

前巻で徳川治斉一橋卿の意をうけた幕閣によって、方角火消のお役免除にされそうになったのだが、田沼意次の機転によってからくも逃れた新庄藩大名火消「ぼろ鳶組」の次の舞台は「吉原」である。 これまでこのシリーズで吉原遊廓の火事の応援に「ぼろ鳶組」が...