時代小説・歴史小説

朝井まかて

大坂の「青物」は日本一。青物問屋が舞台のドタバタ恋愛ドラマが面白い ー 朝井まかて「すかたん」

上方の青物市場の大店を舞台にしたドタバタ恋愛ものが、朝井まかてによる本書『すかたん(講談社文庫)』。 メインキャストは、美濃岩村藩の大阪城代の上屋敷御側用人を務めて夫を亡くした「知里」という実家が江戸の饅頭屋というヒロイン。相手となるのは、...
今村翔吾

火事の裏にある火消しの悪事を火喰鳥は見破るか? ー 今村翔吾「菩薩花 羽州ぼろ鳶組5」(祥伝社文庫)

京都で大規模な火事を起こした「火車」の事件を解決して江戸に帰還した、火喰鳥こと「松永源吾」を中心とする新庄藩大名火消しの活躍を描く「ぼろ鳶組」シリーズの第5弾。 今回の舞台は江戸。「ぼろ鳶組」のメンバーだけでなく江戸の火消しの大きな関心事の...
今村翔吾

京都に巣食う「火付け妖怪」に「火喰鳥」が挑む ー 今村翔吾「鬼煙管 羽州ほろ鳶組4」(祥伝社文庫)

加賀藩の加賀鳶と並んで、江戸の火消し組を代表する火消しとなった羽州新庄藩の大名火消しの活躍を描いた「羽州ぼろ鳶組」シリーズの第4弾。 今回のフィールドは、江戸から遠く離れた「京都」。ここの供与西町奉行として赴任している「長谷川平蔵」の要請を...
今村翔吾

くらまし屋の掟を破る依頼者に平九郎の対応は? ー 今村翔悟「秋暮れの五人 くらまし屋稼業4」(時代小説文庫)

今まで、香具師の親分から追われる子分二人、呉服屋に監禁されている娘、高尾山の山中に軟禁されている本草家、と様々な事情と様々な環境にある者を「晦まして」きた「くらまし屋」たちなのだが、今話では、くらまし屋の晦ましに条件となる「依頼は必ず面通し...
今村翔吾

幕府と誘拐集団をかいくぐり、山中から「植物学者」を脱出させよ ー 今村翔吾「夏の戻り船 くらまし屋稼業3」(時代小説文庫)

第一作で、浅草を牛耳っている香具師の元締め・丑蔵の手下の万次と喜八、第二作で日本橋の呉服屋・菖蒲屋の奉公人・お春を、彼らを殺そうとする丑蔵や人買いに売っぱらおうとする菖蒲屋と人買いたちの間をかいくぐって、見事、江戸から脱出させて「晦ます」こ...
今村翔吾

国元から来た若殿様は、ぼろ鳶組を潰す気なのか? ー 今村翔吾「九紋龍 羽州ぼろ蔦組 3」(祥伝社文庫)

壊滅寸前のところから、新リーダーの松永源吾を筆頭に、軟弱風の剣の達人・鳥越新之助、イケメンの軽業師・彦弥、元相撲取りの怪力・寅次郎、天文に通じたハーフの天才風よみ・加持星十郎、竜吐水の遣い手・魁武蔵といった面々の働きで、江戸の大名火消しの中...
時代小説・歴史小説

度重なる「引っ越し」の苦難も工夫次第でなんとかなる ー 土橋章宏「引っ越し大名 三千里」(時代小説文庫)

「越前大野→出羽山形→播磨姫路→越後村上→播磨姫路→豊後日田→出羽山形→陸奥白河」これが本作の主人公が仕えるお殿様・松平直矩が生涯に行った「引っ越し(国替え)」の経路である。蝦夷や四国は入っていないものの、本州の北から南までの大移動で、まあ...
有馬美季子

居酒屋の三世代経営者が絵師の失踪事件の秘密を解き明かす ー 有馬美季子「はないちもんめ」(祥伝社文庫)

文政時代の日本橋の居酒屋の女将・お園が自慢の料理と少しばかりのおせっかいで、市中の事件の謎を解いていく「縄のれん 福寿」をおくり出した筆者が、今回は祖母、母親、娘の三世代で切り盛りする料理屋「はないちもんめ」を舞台に、江戸の市中の事件を解決...
今村翔吾

卑劣な「脅し」に負けずに江戸を「付け火」から守り通せ ー 今村翔吾「夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 2」(祥伝社文庫)

新庄藩の大名火消しの活躍を描いた「羽州ぼろ鳶組」シリーズの第2弾。前巻で、花火師崩れの放火犯・秀助の火薬をつかったおおがかりな放火から江戸市中を守った松永源吾たち「ぼろ鳶組」で、江戸のあちこちで起きる火事の現場にかけつけて消火にあたる彼らの...
上田秀人

貸し倒れの帳面をきっかけに「田沼」の企みが動き始める ー 上田秀人「金の価値 日雇い浪人生活録 1」(時代小説文庫)

上田秀人さんの時代小説は「お武家もの」、それも江戸幕府のちょっとひねった役職についた若者、というのが主人公であることが多いのだが、今回はそれとはがらっと変わって「浪人」が主人公。しかも、活躍する舞台は、江戸城中とかの武士たちの世界ではなく、...