ミステリー

大崎梢

「事件の真相」は忘れた頃に明らかになる ー 大崎梢「忘れ物が届きます」(光文社文庫)

2019年1月当時のこの本の扉絵は、あどけない表情をした姉弟が、小人の郵便配達から手紙を受け取っているもので、これはファンタジー系の話かな、と思って読み始めたのだが、その予想を裏切る、正統系のミステリーでありました。 大崎梢さんのミステリー...
大崎梢

移動図書館バスは「本」と一緒に「謎」も運ぶ ー 大崎梢「本バスめぐりん」(東京創元社)

「成風堂書店」シリーズなど、書店まわりのミステリーで定評のある大崎梢さんが、今回、練り上げたのは「移動図書館バス」にまつわる話。 「移動〇〇」というと、人口が少なくて過疎化している町や、市の中心部から遠く離れていている地域などを巡るものを思...
大崎梢

「日向子ちゃん、頑張れ」と言っているうちに「謎解き」のまっただ中 ー 大崎 梢「スクープのたまご」(文春文庫)

大崎梢さんのミステリーは、書店員の経験があるせいか、「成風堂書店」シリーズなが出世作ではあるのだが、本屋さん以外にも出版社営業や少女雑誌編集者であるとか、本に周辺の物語が多い。 本作「スクープの卵」は、少女編集者を主人公にした「プリティが多...
大倉崇裕

いきもの係に増員。それに関係なく、薄ちゃんの推理は絶好調 ー 大倉崇裕「警視庁いきもの係 クジャクを愛した容疑者」(講談社)

数々の難事件を、その事件に関わる動物をキーにして、不思議な視点から解決してきた須藤・薄コンビなのだが、その活躍も4巻目となって、薄ちゃんの推理も絶好調という感じである。 このコンビの活躍も、そろそろ評判になってきて、少なくとも「警察社会」の...
ミステリー

ミソッカスでも、天然でも、薄ちゃんの推理力はピカイチ ー 大倉崇裕「警視庁総務部動植物管理係 ペンギンを愛した容疑者」(講談社文庫)

前巻は「蜂」をテーマにした長編であったのだが、今巻は、短編集。短編であっても、薄ちゃんの「天然ぶり」は健在で、「〇〇ですよぉ」という彼女の喋りぶりも、ますますパワーアップしていますね。 さらに、この巻の第三話の前のあたりで、須藤警部補が、総...
大倉崇裕

スズメバチを使った陰謀事件は薄巡査の推理により崩れ去るのであった ー 大倉崇裕「警視庁総務部動植物係 蜂に魅かれた容疑者」(講談社文庫)

警視庁総務部総務課動植物係に勤務する強面のもと刑事・須藤警部補と、制服姿でいるとコスプレ趣向のキャバクラ嬢と誤解される薄巡査部長の二人が、動物を巡っておきる難事件を解決していくシリーズの第2弾。今回は長編仕立てで、メインとなるのは「蜂」しか...
友井羊

幾多の謎解きは、理恵ちゃんを新しい進路へ導く ー 友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん まだ見ぬ場所のブイヤベース」(宝島社文庫)

シリーズものも冊数を重ねると、登場人物や、彼らを取り巻く環境が、どんどん変化していく時があるもので。これは筆者がそうするというよりも、「物語」や「物語の主人公」が勝手に動き始めることで起きているような気がしてならない。もちろん、「錯覚」では...
友井羊

美味いスープは、人間関係のもつれを溶かす特効薬である ー 友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー」(宝島社文庫)

東京のビジネス街のちょっとはずれたビルの一階にあるスープの隠れた名店「しずく」を舞台にしたライトミステリー「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」シリーズの第三巻。第二巻までで、「しずく」の店主・暁の亡き妻が亡くなった経緯であるとかの過去の背景も...
佐藤青南

カルト教団内の事件に「西野」と、同級生の女性看護師が挑む ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 セブンス・サイン」(宝島社文庫)

「行動心理捜査官 楯岡絵麻」シリーズの第7巻は、第6巻に続いての長編仕立て。今巻の舞台は、新興宗教内部の殺人事件で、「猟奇」っぽい始まりなのだが、だんだんとカルト宗教の教団内における人間臭い事件となってきて。けして怪奇ミステリー仕立てではな...
佐藤青南

「エンマ様」に行動心理学を知り尽くした”強敵”が出現 ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 ヴィジュアル・クリフ」(宝島社文庫)

行動心理捜査官 楯岡絵麻」シリーズは、今まで短編ばかりであったのだが、この6巻目に至って初めての長編である。 しかも、「エンマ様」こと楯岡絵麻の「尖塔」のポーズを合図に繰り出される、行動心理学に基づいて、被疑者を「落とす」技は、今まで無敵で...