ベテラン俳優が、ドラマや舞台でおきる事件を解決、と思いきや=長岡弘樹「幕間のモノローグ」

木村拓哉さん主演の「教場」シリーズの原作者・長岡俊樹さんが贈る、ドラマや映画の撮影中や、舞台でおきるさまざまな事件やトラブルを鮮やかに解決していくいく、ベテラン俳優を主人公とした連作短編ミステリーが本書『長岡弘樹「幕間(まくあい)のモノローグ」(PHP研究所)』です。

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あらすじと注目ポイント

構成は

第一章 沈黙のスピーチ
一拍遅れのプロローグ
第二章 殺陣の向こう側
第三章 汚れ役の歌
第四章 黒い代役
第五章 白紙の応援歌
第六章 湿った密室
第七章 歪んだ凶弾
一拍早いエピローグ
第八章 ヘッドボイスの行方

となっていて、本作の主人公はアクターズスクールの講師も務めているベテラン俳優の「南雲草介」で、第一章が終わったところで、脳梗塞となり、リハビリを続けて復帰したものの、メガネをかけての生活が続いている、という設定です。「脳梗塞でメガネ?」というところは巻の最後のほうで明らかになります。

第一話の「沈黙のスピーチ」では、「折崎」という若手俳優が、オーディションを受けても採用されず、芽が出ないことで俳優の道を諦めかけています。彼はスクールの講師でもある南雲に相談しているのですが、そこの折崎の俳優仲間の伊野木が、妻の難聴が悪化しているので俳優業を諦め定職に就こうかと考えている、と打ち明けてきます。そして、自分は諦めるが折崎はあきらめるなと説得してくるのですが・・という展開です。
結局のところ、折崎は俳優を続けるのですが、伊野木も俳優を続けることとなり、そこに南雲の仕掛けがあることがわかり・・という筋立てです。

第二話の「殺陣の向こう側」では、テレビドラマの殺陣指導をしている「久積」の妻がひったくりの被害に遭います。そのひったくり犯は、久積の身近にいる俳優志望者なのですが、それを南雲が俳優志望者ではおよそとらない行動をとることから見抜いていきます。

第三話の「汚れ役の歌」では、ヘアウィッグや付け黒子をして変装をした女性が、大手書店で万引きをしているところから始まります。少しネタバレをしておくと、この女性、実は俳優の卵で、この万引きも万引き犯を防止するため、店と契約して行っている、いわば万引きのサクラなのですが、南雲は彼女の芸がこのアルバイトで荒れることを心配して、ある提案をしてくるのですが・・という展開です。

このほか、リハーサル中に第一話ででてきた「折崎」という若手俳優を、演技にみせかけて南雲がボディブローのパンチを入れた「優しい」理由が描かれる「黒い代役」や、スーツアクターの後継者に抜擢された第二話ででてきた伊野木が、俳優部長が遺した言葉から、俳優部長殴打事件の容疑者として疑われるのですが、南雲がしかけた罠で真犯人があぶりだされてくる「湿った密室」などが収録されています。

レビュアーの一言

前半から中盤にかけて読んでいくと、これはいわゆるドルリー・レーンのような「俳優が名探偵」のような物語かな、と思ってしまうのですが、最後の方で意外な仕掛けが隠されているので要注意です。科学の進歩は名探偵すらつくってしまう、ということですかね。

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